ハリネズミの恋
「針井」

俺が名前を呼ぶと、針井は読んでいた小説から顔をあげた。

「…何?」

針井は不思議そうに首を傾げた。

「すまん、ちょっと…」

「えっ…?

きゃっ…!?」

針井の腕をつかんで、椅子から立ちあがらせた。

「えっ、何?」

「あいつ、頭がおかしくなったか?」

俺と針井の状況に、クラスメイトがヒソヒソとささやいている。

「おい、七緒。

お前、一体どうしたんだ?」

太がガタッと椅子から立ちあがり、俺と針井に歩み寄ってくる。
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