ハリネズミの恋
「き、霧ヶ峰くん…?」

怖がっているのか、俺を呼ぶその声は震えている。

針井の躰からフワリと漂う甘い香り。

「…やっぱりな」

確信した。

「えっ、何が?」

戸惑っている針井の華奢な躰を引き寄せて、背中に両手を回した。

「きゃーっ!」

「えっ、マジで!?」

クラスメイトから黄色い声と驚いた声があがる。

針井の躰から漂うお菓子のような甘い香りは…マシュマロだったんだな。

マシュマロの甘い香りを吸い込むと、俺は理解する。
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