ハリネズミの恋
「き、霧ヶ峰くん!」

針井が俺の腕の中で戸惑っている。

「ちょっと、ねえ!

霧ヶ峰くん!

ねえ!」

針井は訳がわからないと言うようにジタバタしている。

彼女がジタバタすればするほど、マシュマロの甘い香りがフワリフワリと漂う。

ヤバいな。

何があっても絶対に離したくないな。

華奢な躰とかマシュマロの甘い香りとか、絶対に離したくない。

「おい、七緒!

離してやれ!

えらいことになってんぞ!」

太にこぶしで肩をたたかれ、俺は針井の躰を離した。
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