ハリネズミの恋
クラスメイトは全員上を向いていた。

どうした、おい。

針井は針井で顔を真っ赤にしている。

「七緒」

太が情けない顔をして、情けない声で俺の名前を呼んだ。

「何だ?」

「…自分のやったことを自覚しろ」

太は呆れたと言うように額に手を当てた。

「太」

「何だ?」

名前を呼ばれた太が指のすき間から俺を見る。

「今日、ポッキーじゃなくて大正解だったぞ」

俺がそう言うと、
「はあっ?」

太は訳がわからないと言うように返した。
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