ハリネズミの恋
何でこうなったんだよ、おい。

ドーンと押し寄せてきた今日1日分の疲れは、重い以外何にも思い浮かばない。

今日は早く帰って、飯食って、風呂入って、早よ寝よう…。

そんなことを思いながら下駄箱からスニーカーを取り出したら、
「おーっす」

ギターケースを肩に背負った太が前から現れた。

「…何だ?」

毒づくように聞いた俺に、
「おいおい、忘れたとは言わせねーぞ?」

太が返した。

「あー…」

尋問されるってことすっかり忘れてた…。

「ささ、この近くにあるファミリーレストランへ」

「お前、絶対覚えてろよ?」

逃げる体力は微塵もなかった俺は太に連行されるがまま、下駄箱を後にした。
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