ハリネズミの恋
太に連行されてファミレスに行くと、時間も時間と言うこともあり人が多かった。

店員に案内されるようについた窓際の席に、俺たちは腰を下ろした。

「いやー、腹減った腹減った」

太はのん気に鼻歌を歌いながら2冊あるうちのメニューの1冊を俺に渡した。

何が腹減った腹減っただよ。

これから尋問される俺の身にもなって見ろっつーの。

心の中で毒づく俺だが、手はメニューを開いて料理を選んでいる。

我ながら現金である。

「海鮮ドリアにするべきか、ハンバーグカレーにするべきか…迷うなあ」

何が海鮮ドリアだ、ハンバーグカレーだ。

心の中で毒づく俺だが、チーズハンバーグセットときのこのクリームパスタで迷っている。
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