ハリネズミの恋
「この間のゴールデンウィーク…と言うよりもその少し前から、針井さんとの関係がおかしい訳ですが?」

太はグラスに入れたストローをクルクルとかき回しながら聞いてきた。

「針井とはただのクラスメイトで、あいつとの関係はクラス委員だけど」

俺はそう答えると、ストローに口をつけた。

オレンジジュースの甘酸っぱい味で渇いたのどを潤す。

「クラス委員だから大衆の前で抱きあいましょう、って?」

「ブッ…いや、それは」

オレンジジュースを吹いた俺に、太はニヤニヤと笑顔を浮かべている。

「素直に吐いてしまったらどうかね?

霧ヶ峰七緒くん」

「何でフルネームなんだよ…」

って言うか、吐けって何だよ。

俺は心の中で毒づくようにツッコミを入れた。
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