ハリネズミの恋
「えっ…!?」

危うく大きな声が出そうになったが、どうにかこらえた。

ここは図書室だぞ、図書室。

場所を思い出して、うまく耐えたぞ。

「漢文でわからないところがあったから…」

針井は呟くように言った。

要は彼女もテスト勉強のため、図書室を利用しにきたようだ。

それだけ言うと、針井は俺たちから離れようとした。

「ああ、ちょっと待て」

俺は離れようとする針井を止めた。

「違うって言うなら、教えて欲しいんだ」

俺の頼みに、針井は困ったと言うような顔をした。

それから少し考えた後、
「…少しだけなら」
と、呟くように言った。
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