ハリネズミの恋
「近いんだね」

針井が返した。

「まあ…近いと言えば近いな、うん。

寝坊しても自転車使えば半分の15分で到着するし」

「いつも歩いて学校へきてるの?」

続けて聞いてきた針井に、
「歩いた方が運動になるんだ」

俺は答えた。

何故か、沈黙。

…おーい、何かしゃべってくれー。

って言うか太よ、今なら間にあうからすぐに戻ってきてくれ。

お前が余計な気づかいをしたせいで、俺は今どうすればいいのかわからないんだ。

沈黙に戸惑っている俺に、
「あの…ね」

針井が言った。
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