ハリネズミの恋
あれが金棒…いや、ギターだったら間違いなく鬼だ。

針井も同じことを思っていたことに、俺は嬉しくなった。

「あのさ」

嬉しくなったせいなのだろうか?

俺の唇は動いていた。

針井が俺に視線を向ける。

「100メートル走で俺が1位をとったら…」

「とったら、何?」

そこまで言いかけて、口を閉じた。

「すまん、何でもない」

俺は首を横に振った。

「えっ、何?

どう言うことなの?」

針井が首を傾げる。
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