ハリネズミの恋
Chapter3*2人っきりの放課後*
「お風呂くらい自分で入れるわい!」

「えー、新婚なんだから一緒に入ったっていいじゃないのー」

「だが断る!」

…何がおかしくて耳が痛いやりとりを聞かなきゃいけないんだ、チクショー。

それはフーゴも同じだったらしく、新婚ホヤホヤのマーサとメグのやりとりから逃げるように食後のカプチーノを飲みながら小説を読んでいた。

今日の小説は太宰治の『人間失格』である。

フーゴも相当追いつめられているんだと、俺は思った。

つーかさ、風呂のやりとりだけでもう10分経ってるんだけど?

俺は未だにやりとりを続ける2人にバカバカしくなり、そしてこれ以上耳が痛くならないうちに、この場から静かに去った。
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