ハリネズミの恋
向かった先は自室ではなく、ダンス室である。

電気をつけると、目の前の鏡が俺の情けない顔を映していた。

未練がましいのもいいところである。

「あー、恋がしてェ」

大きな声で独り言を言った。

…余計にバカバカしくなったうえに、余計に情けなくなっただけだった。

もういい!

俺はジーンズのポケットからオレンジ色のヘアバンドを出すと、それで癖のある黒髪たちをまとめた。

こんな時はダンスするに限る!

明日から部活も始まるし、明後日は新入生に部活を紹介するイベントがある。

振りの確認ついでに、気分転換しよう!
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