ハリネズミの恋
登校初日は散々であった。

驚かれるし、冷やかされるし、いじられるし…だけど、人間と言う生き物はなれである。

2、3日経つと当たり前のように受け入れられた。

「ねえ、今日霧ヶ峰くんの部活見学してもいい?」

学校に向かっている途中、寧々がそんなことを言ってきた。

「えっ、マジ見に行くの?」

驚いて返した俺に、
「…やっぱり、ダメ?」

寧々は悲しそうに首を傾げた。

…確信犯、ではないことを祈りたい。

今の首を傾げる動作、何気にドキッと心臓が鳴ったぞ。

「じゃ、邪魔しない程度なら見学してもいいぞ?」

寧々に心臓の音を隠すように、俺はそう返した。

「楽しみにしてるね」

そう言って無邪気に笑った寧々に、俺の心臓は爆発寸前である。
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