ハリネズミの恋
そう言えば、太の寧々への呼び方がいつの間にか変わっていることに気づいた。

この間までは“針井”だったのに、今は“針井ちゃん”とちゃんづけで呼んでいる。

ま、俺は“寧々”とファーストネームで呼んでいるからいいんだけど。

「不思議なもんだな。

何か夢でも見ているんじゃないかって感じ」

太は笑いながら言った。

「夢ならほっぺをつねって差しあげますが?」

ふざけて手を伸ばした俺に、
「すまん、勘弁してくれ」

太は手を前に出した。

そんな俺たちのやりとりを、寧々はクスクスと笑いながら見ていた。

「寧々も協力してくれ。

これが夢じゃないってこと」

「それじゃあ、大政くんがかわいそうだよ、霧ヶ峰くん」
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