ハリネズミの恋
「別名、ラッキーセブンの七緒ちゃん!

ダンス部の幸運の象徴のお前がこんなんでどうするんだね?」

ポンポンと太は何度も肩をたたいて励ますが、それで俺の緊張が解けるんだったら誰だって苦労しない。

「針井ちゃん、七緒に何か言ってやれ」

太はやれやれと言うように両手をあげた後、寧々に言った。

寧々が俺の隣にくると、
「七緒くん」

名前を呼んだ。

不思議だ。

さっきまで緊張していた俺の心が、たった今寧々に名前を呼ばれたことで静かに解れて行く。

「頑張ってね」

寧々が言ったその一言は、シンと俺の躰に沁みた。

さっきまで緊張していたこと自体が、まるでウソみたいだ。

「はー、やっぱ愛の力ってすげーな」

太は納得したと言うように、うんうんとうなずいていた。
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