ハリネズミの恋
「寧々とは同い年で、家が隣同士の幼なじみだったんです」

寧々と同い年と言うことは、氷室も俺と同じ高校2年生みたいだ。

だけど…幼なじみとは言え、下の名前で呼び捨てはないんじゃないのか?

カチンときた俺に気づいていないと言うように、
「っ言っても、寧々が転校した中学1年の終わり頃までの話なんですけどね」

氷室は頼んでもいないのに笑いながら話をしている。

「いやあ、ビックリしたなあ。

まさかこんなところで再会するなんて。

もしかして寧々もダンス甲子園に…」

氷室の話をさえぎるように、
「――何しに、きたの?」

まるで氷のように冷たい寧々の声が、その場に響いた。

「ね、寧々…?」

名前を呼んだ俺だけど、寧々の表情は固まったままだ。
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