ハリネズミの恋
ウソをつくのが苦手だ。

何にも運動をしていないのに、心臓がバクバクと早鐘を打っている。

岩田さん…と言うよりも、周りにこの心臓の音が聞かれていないだろうか?

「ふーん」

岩田さんは一言そう言うと、スポーツドリンクに口をつけた。

…よかった、ごまかせた。

俺はホッと、胸をなで下ろした。

その日も特にミスや細かい指摘を受けることなく、本日の部活動は終了した。


ダンス室に流れるのは、爆音のミュージック。

ミュージックに躰をあわせて踊る…だけど、
「あー、調子が出てこねーな…」

リモコンに手を伸ばし、爆音のミュージックを止めた。

髪をまとめているオレンジ色のヘアバンドを外し、音楽プレイヤーからCDを取り出した。

別のCDを音楽プレイヤーの中に入れると、再生させた。
< 261 / 297 >

この作品をシェア

pagetop