ハリネズミの恋
観客が沸き立つ。

俺は踊って、沸き立つ観客をさらにあおる。

大きな声で歌うけど、その声は歓声と爆音のミュージックによってかき消される。

楽しいこの状況が、さらに楽しくなる。

大好きな時間が、さらに大好きになる。

パ――――――――――――――――――ン!

頭の中でくすぶっていた火種が、大輪の花を咲かせる。

それに続くように、火種が連発して何度も花を咲かせる。

この瞬間が、1番好きだ。

ダン!

ミュージックが終わったのと同時にポーズを決めた。

観客がわーっと騒いだ。

中にはペットボトルを投げる観客もいるが…まあ、今回くらいは見逃してやるか。

俺は観客に向かってピースサインを送ると、ステージを後にした。
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