ハリネズミの恋
「やっと思い出したか。

今、目の治療の真っ最中でコンタクトがつけられなくてね」

氷室はやれやれと言うと、眼鏡をかけた。

何だこの、偶然は…?

それとも、何かの陰謀か…?

あまりの展開に、俺はどうすればいいのかよくわからない。

「忘れてたのにはムカついたけど、眼鏡じゃ仕方ないな」

氷室はうんうんとうなずいた。

「寧々がお前を好きになった理由がよくわかったよ」

続けて言った氷室は自嘲気味に笑った。

「好きになった、理由…?」

聞き返した俺に、
「振られたんだよ。

“好きな人がいる”って言われて」

氷室は笑いながら返した。
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