ハリネズミの恋
「わたし、待ってるね」

寧々が言った。

「七緒くんが迎えにきてくれるの、待ってるから」

そう言った寧々に、
「じゃあ、約束をしよう」

俺は首の後ろに手を伸ばすと、チェーンを外した。

ルビーのベビーリングがついたそれを手のひらのうえに置くと、寧々に見せた。

「何、これ?」

寧々が物珍しそうに、ベビーリングを見つめた。

「これ、俺のベビーリングなんだ。

婚約指輪の代わりに、受け取ってくれないか?」

「…いい、の?

こんな大切なものを、わたしが受け取っても…」

寧々が大きな瞳で、俺を見つめる。
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