ハリネズミの恋
パチンと言う音と同時に、針井がそう言った。

「霧ヶ峰くん、部活あるんでしょ?

だから帰ってもいいよ?」

針井はパチンパチンと手を動かしながら言った。

何なんだよ、こいつ。

「いや、俺もクラス委員だし…」

「自分からじゃなくて、先生の指名でしょ?」

針井は手を動かしながら、ついでと言うように口を動かした。

事実と言えば事実である。

「わたしがまとめて、後で先生に届けておくから。

早く行ったら?」

「…ッ」

カチンと、きた。
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