ハリネズミの恋
針井に視線を向ける。

彼女は文庫本を読んでいた。

先ほどと変わらない光景が全くと言っていいほど変わっていない。

「あ、そう言うことか」

納得したと言うように太が言った。

「…お前、何勘違いしてる?」

俺は太に視線を向けた。

「まあ、七緒が誰を好きになろうが俺には関係ないけどねー」

太はポッキーをくわえた。

「んだよ、それ」

俺は呆れたと言うように返すと、ポッキーをかじった。

「そのまんまの意味」

太はくわえポッキーのまま言い返した。
< 45 / 297 >

この作品をシェア

pagetop