ハリネズミの恋
…よかった。

針井は相変わらず読書していた。

熱心に読書をする彼女に、俺は不謹慎ながらそんなことを思ってしまった。

今のバカ話、俺たち絶対“頭の悪い2人組”と言うレッテルを貼られたに違いない。

質問した俺も俺だけど、答えた太も太である。

「で、七緒ちゃんは気になっちゃう感じですかー?」

右手にポッキー、左手にフルーツオレを持って笑う太に、
「だから、違うって言ってるだろ!」

俺は返した。


その日の放課後。

「場所は駅前にあるカラオケ店だって」

カバンを持った太が答えた。

「ほーん」

俺はそう返すと、カバンを手に持った。
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