ハリネズミの恋
「西脇ちゃん、きっとお前のこと気に入ったよ!

で、メアドは?

ちゃんと聞けたの?」

一重の瞳をキラキラさせ、俺とキスでもしてしまうんじゃないかと言うくらいに身を乗り出してきた太に、
「聞かなかったよ」

ピシャリと、俺は答えた。

「何だよ…」

太は俺から離れた。

顔を隠すように手を当てて、ため息。

「せっかくのチャンスをお前と言うヤツは…」

呆れたとか情けないとでも言いたいのか?

「会えるかどうかなんてわかんねーじゃん。

そもそも何だよ、気に入ったって」

って言うか、ため息つきたいのは俺の方だ。
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