ハリネズミの恋
俺に向けている針井の視線が痛いものに変わる。

マズいな…。

俺、完全な不審者状態だよな…。

「太がさ、ライブやるんだって」

とっさに出てきた話題は、太のバンドの話だった。

まあ、このままないよりかはまだマシだ。

太には申し訳ないけど…ま、日頃からあいつに痛い目にあわされてるし、これくらいなら見逃してくれるよな。

「フトシ…大政くん、だっけ?」

針井は首を傾げた。

「そう、あの大政くん」

俺はうなずきながら答えた。
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