ハリネズミの恋
「あの人、名前負けしてるのもいいところだよね。

大政くん、高身長で病気的な痩せ型体型じゃない?

なのに名前が“太”って、彼の親の顔が見てみたい気がする」

針井の唇からこぼれたのは、意外と毒が強い言葉だった。

…こいつ、相当なまでの毒舌家か?

「高身長の痩せ型は…太曰く、家系なんだってよ。

おまけに長生きらしいぞ」

「へぇ」

俺の返事に針井は一言そう返した。

「俺も高身長の家系に生まれたかったなあ。

太に身長分けてくれるように頼んでみようかな?」

ジョーダン半分で笑いながら言った俺に、
「霧ヶ峰くんはそのまんまでいいと思う」
と、針井が言った。
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