メロンジュース
「早く帰って…俺じゃなくて、メグに気持ちを伝えたら?

まだ、伝えていないんだろ?」

ズズッと、ナナは洟をすすった。

「な…ナナ、は?」

あたしは聞いた。

「マーサを見送ったらすぐ帰る。

だからマーサもすぐ帰れ」

言い終わると、ナナはあたしに背中を向けた。

あたしはナナの背中を見つめると、
「ありがとう」

呟くようにお礼を言った後、駆け出した。

「あーあ、俺はバカだな…。

初めての恋だったのに…」

自嘲気味に呟いたナナの声は、聞こえなかった。
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