メロンジュース
ドアを蹴飛ばすように開けて、ただいまも言わずに家の中に駆け込んだ。

こんなにも走るくらいならヒートテックとフリースを着る必要なんてなかったな。

真冬のはずなのに、真夏かと疑いたくなるくらい暑いの何の。

そんなことを冷静に思いながら駆けつけた先は、
「メグ!」

メグの部屋だった。

バンと、あたしが開けたドアは宮殿みたいに広いこの家に大きく響いたんじゃないかと思う。

「えっ、どうした?」

帰ってきたばかりなのか、メグはスーツ姿だった。

ネクタイをゆるませていた指はそのままで、驚いた顔であたしに視線を向けていた。
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