メロンジュース
「フーゴは勤め先の大学が実家から遠いから、メグの家から通わせてもらってるんだ。

俺の家庭教師をするって言う条件付きだけどな」

ナナが得意気に言った後、ニッと歯を見せて笑った。

「へえ、そうなんだ…って、思い出した!」

叫ぶように言ったあたしに、フーゴとナナは両手で自分の耳をふさいだ。

「メグ!」

メグはあたしの声に耳をふさごうとしない。

なれてんのか?

それとも、耳が遠いのか?

「あたしの家財道具一式をどこへやったんだ!?」

危うく忘れるところだったぞ、盗まれたあたしの家財道具一式の存在を!

「ああ、それか。

それだったら…」

メグはあたしの手をひくと、この場から連れ出した。
< 36 / 143 >

この作品をシェア

pagetop