メロンジュース
「じゃ、俺着替えに行くから」

ナナはあたしとメグに向かって手を振ると、その場を去った。

玄関にはあたしとメグの2人だけになった。

「じゃ、あたしも…」

ナナに引き続いて退散しようとしたあたしに、
「マーサは残ってくれなきゃ困るね」

メグがあたしの腕をつかんで引き止めた。

「はっ?

何でだよ?」

そう聞いたあたしに、
「婚約者だからじゃん」

メグが返した。

「“お飾りの”、を忘れてる」

言い返すと、つかんでいるメグの腕を振り払った。
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