龍神様との恋愛事情!
突然現れて突然いなくなった伊吹様。
何だったのかな…。
様子を見に来たってことは、私の龍化を心配してくれたってこと…?
でも、ちらっと確認した程度だし……それよりも…。
キス…してしまった。
呆然。
恥ずかしいとかドキドキとかよりも、呆然という言葉が今の私の心境にはピッタリだ。
人間は嫌いとか言っといて、意味わかんないよ。
嫌いな人間にキスするなんて、発言と行動があべこべ。
そういえば、千早様が…伊吹様は天の邪鬼だって…。
本当、なの?
んー…謎っ!
伊吹様は意味がわからない!
――忘れるな沙織。お前は俺のものだ
最後の言葉がまだ頭の中に響いてる。
私はあなたのものじゃないもん。
勝手なこと言わないで下さい!
そう言い返したかったけど、できなかった。
また今度、同じようなこと言われたら言ってやろう。
そう考えながらココアを一口飲んだ。
「………甘い」
甘い甘いキスの味が口の中に広がった。