龍神様との恋愛事情!

「この僕がわざわざお前のために、人間の世界まで行って選んでやったんだ。有り難いと思え」


「は、はい…」


「なんだ?不服そうな顔だな。本や雑誌の方が良かったか?なら今度持ってきてやるぞ?ああ、それとも楽器や裁縫道具の方が暇潰しになるか?おい、お前。趣味はなんだ」


一息にそれだけ言うと若月様は真正面から私をジッと睨みつけた。


「え?あの、特に趣味は…ないですけど」


取り立てて「これが私の趣味です」と言えるようなものはない。

正直に答えたけれど、若月様は許してくれなかった。


「何かあるだろ。言え」


「うっ……じゃあ…読書、です」


「そうか。ならやはり本だな。明日にでも用意しよう」


「別に急ぎじゃないので、明日でなくても…」


< 213 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop