龍神様との恋愛事情!
「この僕がわざわざお前のために、人間の世界まで行って選んでやったんだ。有り難いと思え」
「は、はい…」
「なんだ?不服そうな顔だな。本や雑誌の方が良かったか?なら今度持ってきてやるぞ?ああ、それとも楽器や裁縫道具の方が暇潰しになるか?おい、お前。趣味はなんだ」
一息にそれだけ言うと若月様は真正面から私をジッと睨みつけた。
「え?あの、特に趣味は…ないですけど」
取り立てて「これが私の趣味です」と言えるようなものはない。
正直に答えたけれど、若月様は許してくれなかった。
「何かあるだろ。言え」
「うっ……じゃあ…読書、です」
「そうか。ならやはり本だな。明日にでも用意しよう」
「別に急ぎじゃないので、明日でなくても…」