龍神様との恋愛事情!
好きになるのが怖い。
そう気づいてから、私は千早様と目を合わせづらくなった。
夕飯の席にも千早様は同席していたけれど、視線が交わることはなかった。
馬鹿だな、私…。
普通にしてないと千早様に怪しまれちゃう。
でも……難しいな。
私は布団の中でゴロンと寝返りをうった。
今は夜。
つい先程、電気を消して横になったばかりだ。
そう。驚くべきことに、なんと明かりは全て電気だった。
もちろん、この世界に発電所なんてない。
だから、この屋形の電気は若月様が力を使って流しているらしい。
「本当…若月様には感謝だね」
枕元に置いたクマのぬいぐるみを見上げてクスッと笑う。
そんな、気が緩んでいた時だった。
「相変わらずの間抜け面だな」
一瞬、部屋の空気がヒヤリとした。
この意地悪げな声。
間違いない。
「伊吹様…」
身体を起こした私を見て、伊吹様の翡翠の瞳が闇に煌めいた。