龍神様との恋愛事情!

「沙織…」


息継ぎの合間に吐き出された切ない声。

求められてる。

そう思わずにはいられない、官能を含ませて――。


なぜ?

なぜ、あなたはこんなにも優しく、切なく、私に口づけるの?


千早様以上に、伊吹様の心がわからない。


ぐちゃぐちゃの思考のまま、されるがまま受け入れていると、満足したのか伊吹様が起き上がった。

上がった息を落ち着かせようと、ボンヤリしたまま天井を見つめる。

とその時、不意に抱き上げられた。


「なっ…降ろして下さい!」


「聞けない願いだな。今からお前を“雪の屋形”へ連れていく。これが俺の二つ目の用件だ」


そう言うと伊吹様は廊下へ出て、目の前の障子を開けた。

開けた先は金色のベランダ。

生温い夜風が肌に纏わり付く。


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