龍神様との恋愛事情!

さっきから黙って佇んでいた白い髪の龍神様にミオ様が呼びかけた。


あの方が白龍の長?


「彼はシジマ。白龍の長で、伊吹の父上だよ」


千早様がそっと教えてくれた。


伊吹様のお父さん?

確かに雰囲気がよく似てる。

ストレートの白い髪に翡翠の瞳。

違いといえば、伊吹様よりも男性っぽくて威厳があるところかな。


シジマ様は私をジッと見つめてからポツリと呟いた。


「お前は…なぜここにいる」


「え…?」


お前って、私のことだよね?

今の質問は、どういう意味?


シジマ様は足音も立てずに至近距離まで近寄ってきた。


「お前から…我ら白龍の気を感じる」


内緒話のように、耳元で囁かれる重低音。

言葉の意味よりもシジマ様の声や吐息にゾクリとした。


「そうだ、シジマ。伊吹にまた塒山へ行くよう命じてくれ。今あそこには誰もいないからね」


「…………」


黙ったまま千早様を見返すシジマ様。

何だか一触即発といった雰囲気だ。


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