龍神様との恋愛事情!
「とにかく…私はダメですから!」
彼の胸板を押してもがいてみる。
けれど、やっぱり虚しくて。
「どうしても?」
クイと顎を持ち上げられた。
彼の顔が間近に迫る。
瞳の色は私達と同じ黒。
なのに、とても魅惑的で…人間の瞳とはどこか違う雰囲気が瞳の奥から伝わってくる。
絡めとられる。
そんなイメージが頭の中に浮かんだ。
「沙織…本気になってもいいかな?」
「ダ、メ…です」
否定しつつも、千早様の瞳から目が反らせない。
捕まってしまった…?
何なのかな?
この感覚…。
「沙織…」
囁かれ、吐息が唇にかかった。
彼との距離はもう、ゼロに等しい。
「愛してくれないか?」
――私を…
そう言われてから、私は唇を優しく奪われた。