龍神様との恋愛事情!
この山はちょっとしたハイキングコースになっていて、よくわからない細い道が多数ある。
一人で下山しようとしたら、確実に迷う。
うん……自信あるよ。
迷子になるね、私。
「……お…お願い、します」
ものすごく不本意だったけど。
仕方ない。
神様に頼ろう。
「ふふ、そうそう。素直な方が可愛いよ」
そうして抱き上げられた私は、空中を優雅に飛んでいく彼に運ばれた。
「あの、千早様は龍なんですよね?」
「そうだけど?」
飛行しながらの質問タイム。
「龍の姿にはならないんですか?」
素朴な疑問だった。
「なるよ。けど…なるとね、みんなに見られちゃうんだよ」
「見られる…?」
「そう。この姿なら普通の人間には見えないんだけど、本来の姿になると誰の目にも例外なく映ってしまうから、滅多なことでは人間の世界で龍にはならないよ」