龍神様との恋愛事情!
「はぁ、はぁ…きゃっ!?」
橋の手前で、とうとう私は派手に転んでしまった。
「祖父ちゃん、待って!!考え直してくれよっ!」
「ええい!黙らんか!落とせい!今でいい!川に沈めるんじゃ!!」
まずい…!
こんなところに倒れてたら沈められる!!
目の前には氾濫寸前の川。
普段よりも深い上に流れも速い。
立たなきゃ…!!
ガシッ
後ろから勢いよく襟首を掴まれた。
「やっ!やめて!!」
村長さんだ!
殺される!!
「おい、暴れるな。危ねぇだろう!」
「嫌ぁあ!!放して!!放し――」
その瞬間、身体をドンと押された。
「あっ…」
押したのは村長さんではなく、お爺さんの方。
厳しい眼差しで私を見下ろし、容赦なく川へ突き飛ばす。
恐怖しかなかった。
「桜ぁあああっ!!!!!!!!」
村長の息子さんの悲鳴が聞こえる。
「い、ぶ…き、さま…」
私は大雨の中、川に呑み込まれた。