龍神様との恋愛事情!
「もう黙れ…。辛いことをしゃべるな」
こぼれ落ちる涙を拭ってくれる伊吹様の指先。
「桜…いや、沙織。お前は俺のものだ。いいか?」
「はい……私の心も魂も、全部…伊吹様のもの、です」
言葉にした瞬間、さらに涙が溢れた。
嗚呼……千早様…。
ごめんなさい…。
私、伊吹様のこと――。
「何を考えている」
「えっ!?あ…」
「黄龍のことか?」
「ち、が…」
言い終わる前に押し倒された。
布団に身を沈め、ほっそりとした伊吹様の顔を見上げる。
「俺はお前を大切にしたい。この思いはあの頃から変わらない」
誓いのような口づけが降ってきた。
とても懐かしい感覚。
あの雨の日を思い出す。
「沙織、抱くぞ。良いな」
「はいっ…」
あなたが好き。
涙が止まらないほど…あなたが好きです。