龍神様との恋愛事情!
私を抱っこして、闇により黒く染まった塒山の山頂を目指す。
地上はあんなに暗かったのに、上を見上げれば満天の星空。
けど、今は千早様の方が輝いて見える。
ポニーテール風に結い上げられた髪が風になびいて綺麗。
ボンヤリと千早様の顔を見つめていたら、いつの間にか山頂に着いていた。
「また池の水を使うんですか?」
塒池に近寄っていく千早様に声をかけると、ニッコリ微笑まれた。
「そうだよ。沙織もおいで」
おいでと言われ、私も池に近寄る。
「この池の水はとても神聖でね。大昔から枯れたことがないらしい」
「そうなんですか」
「しかもこの池は、私達龍の世界と繋がっているんだ」
「え!?龍の世界と!?」
見た限りでは単なる池だけど…。
私は興味を持って、右手を浸してみた。
チャポン…
ひんやりする。
ただの冷たい水だ。