龍神様との恋愛事情!


 お風呂から上がると、私だけ一足先にリビングへ行くことになった。

きっかけは澪様の言葉。


「千奈美に伝えてきて下さい。うるさいのは出たから入っていいと」


ドライヤーを片手に脱衣所で三つ子ちゃん達の髪を乾かしてあげている澪様。

なんだか、すごく微笑ましい。

もう少し見ていたかったけど、澪様の頼みを実行するため私は脱衣所を後にした。



一人、しんとした廊下を歩く。

来た時はいっぱい龍神様を見かけたけど、今は見当たらない。

他の階にいるのかな?

キョロキョロと周りを見回しながらエスカレーターで下へ。


のんびりと五階に下り、四階へ行こうとした時だった。



「……は、ととの……ます」


どこからかヒソヒソ話す声が聞こえた。


誰かいるのかな?

背後から聞こえたような感じがして振り向けば、真っ直ぐ行った廊下の突き当たりに見覚えのある龍神様を発見した。


ミズグモ様だ。


ミズグモ様と誰かが話してる。

確か、ミズグモ様は澪様を快く思っていないんだっけ。

自分が長の座を狙ってるってシトリ様が言ってたよね。


あんまり関わりたくないな。


私が気づかれないうちにエスカレーターに乗ろうとした瞬間。



「……そうだ。今夜だ」



聞こえてしまった。



「今夜、澪を殺す」



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