龍神様との恋愛事情!
思考が停止して、意識が遠くなって…。
私は完全なる無に支配された。
そんな何も感じない無の状態から私の意識が再び覚醒したのは、本当におかしなことだと思う。
「あれ……?ここ、千早様の部屋…?」
ついさっきまで澪様の屋形にいたはずなのに、私が目にした景色は黄金の屋形の最上階。
千早様専用の広間だった。
時刻は夜なのか、辺りは薄暗い。
「沙織っ!!嘘だぁ!!目を開けてくれ、沙織ぃい!!」
急に大声が聞こえ、ドキッとした。
見回すと、近くに千早様がいるのがわかった。
「千早様…?泣いて、る…?」
誰かを抱きしめて号泣する千早様。
その傍にはシトリ様が立っていた。
「すまん……。こんなことになるとは……」
歯ぎしりをして悔しそうに目を閉じるシトリ様。