腕枕で眠らせて*eternal season*



「ねえ紗和己さん。体、疲れてない?マッサージしてあげようか?」


まだ乾ききってない髪のまま私はベッドへ上ると、座っていた紗和己さんの後ろへ回り肩に手を掛けた。


「ふふ、どうしたんですか、美織さん」


私のぎこちない肩揉みがくすぐったいのか、紗和己さんが身をよじる。


「ありがとうございます。でも、僕、あまり肩とか凝らない方なんですよ。むしろ美織さんの方が細かい作業で疲れてるんじゃないですか」


そう言って紗和己さんは振り返ると、そのままくるんと私を後ろに向かせ、大きな手で肩を揉み始めた。


「あ…気持ちいい…」


「ほら、やっぱり。美織さんの方がずっと凝ってる」


「紗和己さん、肩揉み上手~」


「良かったら毎晩やってあげますよ。美織さん、仕事で目と肩酷使してるんだから」


大きくて温かい手に癒されて、あまりの気持ちよさに瞼がトローンと重くなっていく。


…って、そうじゃないってば!


「違うの!私じゃないの!私が紗和己さんを癒してあげたいの!!」


突然振り返って叫んだ私に、紗和己さんが目をしばたかせた。


そしてふっと表情をゆるめると、肩に乗せていた手でギュッと私を抱き寄せて言った。


「美織さんが側に居てくれるだけで、僕は充分癒されてますよ」


とても、幸せそうな色で。


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