腕枕で眠らせて*eternal season*
紗和己さん。
私ね
貴方に何をしてあげたかったのか
やっと、分かったよ。
夕焼け雲は茜色。
そろそろ1日の終わりを告げようと、空がグラデーションのカーテンを広げていく。
空の色が濃い青に染まっていくのと同じ流れで、秋の空気はひんやりと冷たさを広げ出した。
「寒くないですか、美織さん」
駅から家までの道を並んで歩く私たち。
「ちょっと肌寒いけど、もうすぐ家だし」
そんな答えを返した私の肩を抱き寄せ、紗和己さんは自分のぬくもりを分け与える。
そのぬくもりは、私を心から温めてくれて。
「ありがとう。あったかいね」
ありがとう。
今日も私は貴方に幸せをもらう。