腕枕で眠らせて*eternal season*
あれから2週間が経った。
秋は少し深くなって、あの日より寒さが増したような気がする。
「………寒い………」
「毛布、一枚足しましょうか」
電気を消した寝室で、上半身を起こし腕で自分を抱きしめながら呟くと、既に寝ていたと思っていた紗和己さんがムクリと起き上がってそう応えた。
ぼんやりとしたままベッドに座ってる私の頭を一度撫でてから、紗和己さんは立ち上がって部屋の奥のクローゼットへ毛布を取りに行く。
そんな光景をなんだか霞がかったような頭でぼーっと眺めた。
前より薄っぺらくなってしまった自分の身体を抱きしめながら。
ああ、そっか。
やけに寒いのは私が痩せちゃったからなんだ。
と、妙な納得をした。
そういえば今日はごはんを食べた記憶がないなぁ。
あれ?最後に何かを食べたのはいつだっけ?
「美織さん」
馬鹿みたいな事をふわふわと考えている私に呼び掛けて、紗和己さんが毛布を重ねた布団の中に私の身体を抱きしめながらしまい込む。
温かい。やっぱり紗和己さんは温かいなあ。
「………寒い………」
「美織さん…」
なのにどうしてだろう、寒さが止まらない。
薄っぺらな身体から、毎日流しても未だ枯れない涙が今夜も溢れ出し、まるで私の熱を奪って流れ落ちてゆく。
あの日から。
毎日、毎晩、私は寒くって。
寒くて、寒くて、寝ることも食べる事も出来なくて。
なのに涙だけは馬鹿みたいに出てくるから、私の身体はどんどん薄っぺらくなってしまって。
薄っぺらくなっていくと身体はますます寒くなって。
そして
「美織さん…美織さん…」
そんな私を貴方が哀しそうに温める。