腕枕で眠らせて*eternal season*





それから―――



私たちは、病院に行き体外受精の詳しい説明を聞いた後、ふたりで話し合って治療を受けない事に決めた。


治療を受け子供を望むことより、夫婦ふたりの笑顔を増やす生活を選択した。




「家はどうする?ふたりで住むなら私はこのマンションでもいいと思うけど」

「うーん。でもやっぱり庭で犬が飼いたいなあ」

「なーんだ。紗和己さんてば、子供に託つけて自分が犬飼いたかったのね」

「すみません、実はそうなんです…。あと、花の咲く家に美織さんを住まわせたいなあって、僕の理想です…」

「その為に家を買うって、なんて壮大なロマンチスト…」


紗和己さんのロマンチックな夢を叶えるべく、のんびりと家探しは続行。

今度は夫婦ふたりが住むためのこぢんまりとした家を。



「紗和己さん。来週、佐知がノリちゃん連れて遊びに来るって」

「本当ですか。じゃあ、その日に休み調整しようかな」

「来月はユカちゃんがマルクくん連れて泊まりに来てくれるし、楽しみがいっぱいだね」

「お菓子いっぱい用意しとかなくちゃいけませんね。あ、一緒にクッキー焼きましょうか」


紗和己さんは相変わらず子供大好きで、友達や親戚の子が遊びに来てくれるととっても喜ぶ。

紗和己さんが素直でいてくれるから、私も卑屈になったりせず、とても楽しい気持ちでそれを迎える事が出来た。

今や子供が遊びに来てくれるのは、私たちにとって楽しいイベントのひとつになりつつあるほどに。


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