腕枕で眠らせて*eternal season*
結婚してもうすぐ2年。
毎日を紗和己さんと共に暮らしても、それが私にとって“当たり前”になる事はなく。
朝目覚めた場所が彼の腕の中なのも、彼の作る朝食が美味しいことも、仕事から帰った『ただいま』が待ち遠しいことも、おしゃべりをしながらの晩御飯が嬉しいことも、肌を重ねる時間が愛おしいことも。
すべてが今でも鮮烈に私の胸をときめかせている。
優しい眼差しに見つめられて、大きな手に触れられて、毎日心が切なくうずく私はきっと、とても幸せな恋する奥さんだ。
毎日、紗和己さんに恋をして。
そして同時に、どうしようもなく深く愛していく。
「私すごく紗和己さんが大切だなあって、最近つくづく思うの。健康で長生きでいて欲しい」
ずっとずっと。人生の終焉まで共にする事を誓ったから芽生える想い。
たったひとり。最期まで愛し添い遂げる、私の夫で――家族だから。
「僕だって同じですよ。ふたりで長生きしましょうね。約束です」
「うん。健康大切だよね。もっと食事に野菜増やそうかな」
「運動も大事ですよ。早起きしてふたりでジョギングでもしますか?」
「は、早起きはムリ……」
ずっと。ずっと。何があっても。
この愛しい人と共に生きていく。
そして
結婚2周年のお祝いを目前に控えたある日。
「おはよう、紗和己さん。
うー。私、風邪ひいたかも~」
数日前からダルさを感じていた体がついに今日は微熱を出して、私はだらだらとした足取りで朝のリビングへと入っていった。
「おはようございます。大丈夫ですか?最近雨続きで寒かったですからね。
食欲は?おかゆ作りましょうか?」
「食欲ない…。ごめん、今朝はオレンジジュースだけでいいや…」
ぐんにゃりしている私の前に、紗和己さんが心配しながら絞りたてのオレンジジュースを置いてくれる。
「病院は?車で送って行きましょうか?」
「病院行くほどじゃない感じ。咳も出ないし。家で大人しくしてるよ」