腕枕で眠らせて*eternal season*
病院からの帰り道。
夕暮れの道を、ふたり固く固く手を握りあって歩いた。
何も喋らず、ただ、固く手を握りあって。
鮮やかな赤に染まった空を見上げながら、紗和己さんがふと、足を止めて言った。
「……大切に、育てましょう」
呟くように、ただひとことだったけど。
けれど、その言葉には語りきれない沢山の想いが詰まっていて。
そしてきっと、その想いは私と同じものだと感じたから。
私は、ただ黙って頷き返す。
繋いだ手はとても温かくて。
出会った日も
笑った日も
泣いた日も、
温かかったその手は
きっと、未来(あした)も
温かい。