腕枕で眠らせて*eternal season*



そして。


花海が2歳半になった夏。

次女、『光月(みつき)』が誕生した。



抗体を持った私が自然妊娠でふたりも産めたのは驚きだったけれど、でも、生まれてきた光月を見ているとなんだか納得してしまう部分もある。


元気いっぱいの光月はお姉ちゃんが大好きでしょうがない妹だった。

どこに行くにも花海のあとを付いて回って。

「きっと月ちゃんは花ちゃんを追っかけて我が家にやって来たんだね」

なんて、紗和己さんと笑い合った。



花海が生まれ。
光月が生まれ。
幸せが増えるたび変わっていく夢のかたち。


「花ちゃんにはピアノを、月ちゃんにはバレエを習わせたいなって思うんですよ」

「うーん。でも月ちゃんは絶対『お姉ちゃんと同じがイイ』って言うと思うよ」

「やっぱりそうですかね…。悩むなあ。ピアノとバレエ、どっちも捨てがたい」

「それに、こないだ花ちゃんラクロスやりたいって言ってたよ」

「ラクロス!?」



紗和己さんと私。そして花海と光月。
今度は4人で沢山の夢を描く。



「花はねー。大きくなったらパパと一緒に雑貨屋さんやるの。自分で作ったサンキャッチャーいっぱい売るの」

「月も!月もお姉ちゃんと雑貨屋さんやってケーキ売る!!」

「月ちゃん…申し訳ないですがパパのお店にケーキは無いです…」

「じゃあ月はパパのお店をケーキ屋さんにする!!」

「ええっ!?」



色とりどりの夢は尽きることなく溢れてくる。沢山の笑顔といっしょに。

いつまでも。いつまでも。




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