腕枕で眠らせて*eternal season*
新しい家を買い引っ越しをしたのを機に、子供たちがふたりで寝てくれるようになったので、私と紗和己さんの寝床は再びふたりでひとつのベッドになった。
「うふふ。やっぱり紗和己さんの腕枕、落ち着くなあ。嬉しい」
「僕も。美織さんを朝まで独り占め出来るなんて、スゴく贅沢で嬉しいです」
子供たちだけで大丈夫かな?なんて心配をしつつも、彼と溶けるように温もりを分け合って眠れる事が嬉しくて。
そうっと擦り寄った広い胸から伝わる鼓動が、自分の音と重なっていく。
「…なんだか思い出すな。初めて腕枕してもらった時のこと」
私の言葉に、紗和己さんが静かに髪を撫でてくれながら「…僕もです」と答えた。
「けどね、全然懐かしいとは思わないんだ」
優しい手を満たされた気持ちで受けとめながら、言葉の続きを紡ぐ。
「…きっと、今でもあの時の気持ちと変わってないからかな。
私、今でも紗和己さんに恋してる。
こうして貴方の腕に抱かれて、ドキドキが止まらないくらい…恋してる」
幸せにまどろみながら、ゆるゆると溢した言葉は、どんな風に紗和己さんに届いたんだろう。
「私ね…きっと、紗和己さんと永遠に恋がしたくて結婚したんだ。
ふたりで色んな経験をして、いっぱい笑って、夢を描いて、幸せを作って。その度に私、紗和己さんを好きになっていく。
好きだよ、紗和己さん。
私と生きてくれて…いっしょに恋をしてくれて、ありがとう」
貴方と出会って。
ゆっくり流れる時と共に、恋をしてきた。
たくさん笑って
時に泣いて
いくつもの季節が過ぎ去って。
越えてきた時の分だけ、貴方を知って
私は何度でも恋に堕ちる。
愛と呼ぶに相応しい深い想いも育ちながら
それでも私はやっぱり貴方に恋をする。
「……紗和己さん……」
今でも甘く切なく胸をしめつけるキスが
嬉しい。